5人の王子とお姫様!



フリーズののちに口から漏れた、間の抜けた言葉。


この状況で何を言い出すのかと思えば……



けど、その場の圧迫感をぶち壊す言葉が放たれたのは間違いない。


全員が目を点にして楓斗を見てたから。


私はというと。



「……き、だよ…」


「は?」



楓斗の顔を見上げて、頑張って笑ってみせる。


だって、そう言われて悪い気はしなかったから。



「私も、好きだよ」


聞き返した楓斗にハッキリと、そう言った。


多分、それが全部本心で、本音だっただけ。


だから別に、深い意味はなかったし。


その、はずだったけど……



「…ッッ」


張り合いのない、真っ赤な顔の楓斗が目の前にはいる。



「どうか…した?」


「…っは!?え、いや、どうかした、って……っ!」


どもりながらも目を逸らさない楓斗に首を傾げる。


それで更に赤くなった顔が近付くのを感じた。


そして……



「天音……」


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