5人の王子とお姫様!
聖はこれ以上何かを言うのを諦めたらしく、無関心を決め込んで、僅かに残っていた紅茶を飲み干す。
この騒々しい空間で平静を保つよう心がける。
これから毎日続くんだから、嫌でも慣れないと。
「天音ちゃん、おかわりはどう?」
「いらない」
同じく、気を逸らさないと紛れないのかもしれない聖の好意を断る。
「そっか」と少し残念そうにする聖は、お茶の追加のためにキッチンの向こうへと姿を消した。
……失敗、した。
嘘でも欲しいって言っておけばよかった。
1人ここに残されるのは、色々と精神が参ってしまう。
本当は案内が欲しいところだけど、やっぱり聖に部屋の場所だけ聞いて早々に退散しよう、とそろりと立ち上がる。
なるべく、大声で言い合いをする2人の目に止まらないように……
——と。