5人の王子とお姫様!
反応して騒ぎたてる声が、ここまで届く。
震える手足。動悸がうるさい。
苦痛、苦痛、苦痛。
ほんの短い時間が、途方もなく長くて。
気付いたら唇は乾いていた。
「柳瀬さん、どうぞ入ってきて」
ひときわ大きく張り上げられた声に、我に返る。
それが自分に向けられたものだと理解するのに数秒かかった。
ああ、そっか。
今……私が呼ばれたの、か。
唇を引き結んで、意を決して中に入った。
静まり返る教室と、息を飲む気配。
すぐに、割れんばかりの声で溢れかえった。
「マジかよ、え、女!?」
「けっこー可愛いじゃん!」
「名前は!?名前教えてよ、ねえ名前!!」
怖い、怖い、怖い。
頭を高速で駆け巡る、とても形容できない恐怖。
突き刺さる視線。
容赦無く降り注ぐ。