5人の王子とお姫様!
地獄に叩き落とされたような、現実離れした気分。
感情が昂っていて、今にも崩れ落ちそうで。
気を抜いたら、一瞬で意識が飛んでしまいそう。
これは、あの頃の再現……?
そんなの気にしなければいいだけ。
いつもみたいに澄まして。
興味がないと、そうやって。
だけど……
「……柳瀬、天音……です…」
今の自分にそんなこと、出来るはずがない。
誰かの声が投げかけられて、後を追うように巻き起こる声の嵐は止まない。
そんな中でもずっと私は無言だった。
だって、喋れない。
言葉が迷子になって、どうしたらいいか分からない。。
どうしよう、声が……
声が——出ない。
よろよろと指定された席に着くと、ようやく落ち着けた気がした。
私の席がある。
ただ、座れる場所があっただけ。
それだけで、私には十分だった。