5人の王子とお姫様!



体育館に着くと、もう何クラスかの生徒は集まっていた。



まるで大ホールにでもいるような広い体育館をキョロキョロ見回していると、前の方に少数の集団を発見した。


そそくさと近付いていくと、最初に聖が気付いてくれた。



「ああ、天音ちゃん。良かった、迷わず来れたんだね」


「琉羽が一緒だったから平気」


「そうなんだね」



なら安心だ、と心底ほっとしたような顔で笑うものだから、本当に調子が狂う。


ストレートに気遣われて、なんていうか……



視線のやり場に困るというか、反応しづらいというか。


少し、複雑な気分。



「なーんか聖ってさぁ、天音には妙に優しいよねぇー…」



そんな聖を見て、じっとりした目で琉羽が言う。


……何か気に入らないことでもあったのかな…。



聖が私に良い顔をしているのが面白くないという、そんな琉羽の心境を知らない私は、小さく首を傾げた。


< 93 / 474 >

この作品をシェア

pagetop