秘密の恋~絶対に知られちゃいけない恋だったのに~
結局、週末は佑介はシンガポールから帰ってこれず、わたしひとりでの引っ越しとなった。

ほとんどの荷物は大丈夫なんだけど・・・ひとつだけ・・・父と母の形見の桐のタンスがある。
これは絶対持って行かなきゃ・・・

さて、どうするか・・・。
こういうときは・・・

『はい。もしもし。華ちゃん?久しぶり。』

『怜《れい》ちゃん久しぶり。
あのさ、お願いがあるんだけど・・・。』


土曜日は快晴で引っ越し日和だった。

桐のタンスは怜ちゃんに運送を頼み、それ以外の家電は大家さんに頼んでごみとして処理してもらうことにした。

怜ちゃんが友達がほしがっているからと冷蔵庫とこたつをもらっていった。


「怜ちゃん。ありがと。」

コンビニで買った冷え冷えのスポドリを渡していたら、ガチャガチャと玄関扉を開ける音。

「華。ごめん!遅くなった!」

佑介だ。

「あ、佑介!おかえり!」

佑介は入ってきて怜ちゃんを見て怪訝そうな顔をした。

「誰?」
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