秘密の恋~絶対に知られちゃいけない恋だったのに~
「お兄さん。見せつけすぎっす。
華ちゃんと仲いいのはわかりましたって。」

帰りのタクシーの中で怜児が耳打ちしてきた。

「俺の中では綺麗な思い出の華ちゃんなんすから。
あんま思い出壊さないでください。」

華は相変わらず俺にしがみついていた。

「結婚式ではもっと見せつけてやるから安心しろ。」

俺がカッコつけて言うと怜児は笑った。

「勘弁っす。」

「悪いな。助けてもらって。
ホントありがとうな。」

「いいっすよ。ああいう部屋貸してると、こんなことザラにありますから。
慣れっこですよ。」

怜児の知り合いは笑いながら言ってくれたし、怜児は

「俺の姉ですから。」

と言って笑った。




俺は華とマンションに戻るととりあえずはお風呂を張り、華にあったかいコーヒーを入れて飲ませている間に朝倉部長に電話をした。

もう12時を回っていたけど、朝倉部長は電話に出てくれた。

『なんだ?瀧。こんな時間に。なんかあったのか?』

『説明すると長いんですけど。
事実だけ簡潔に言うと、写真の送り主と今までいろいろありまして・・・かなりつかれたので明日は会社2人とも休ませてください。』

もうここで、
『以上。』
って言って切りたいくらい疲れ果てていたがそう言うわけにもいくまい。

『は?どういうことだ?
及川は大丈夫なのか?』

『はい。大丈夫です。』

『はぁ・・ならよかった。』

心底ホッとした声を出してくれた。
この辺が信頼できる部長なんだな。

『で?疲れてるとこ悪いが概略だけでも説明してくれ。
今日会社で報告する。
管理部の部長にも言っておくよ。』

『はい。じゃあ簡単に言いますね・・・。
ただ会社に洗いざらいぶちまけたらまたいろいろ問題もあるとは思うんですけど・・・。』

・・・・

俺は概略を説明した。

『そんなことなんで・・明日はすみませんけど。』

『わかった。俺もまったく原因がないわけじゃないからなんと言ったらいいか・・。
しかし黒幕が成田の小早川だったとはな・・・。
しかし女ってすごいな。及川の力説。見たかったよ。』

朝倉部長はハハハと笑った。

『まぁ会社には適当に言っておく。』
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