秘密の恋~絶対に知られちゃいけない恋だったのに~
1.俺様オトコの恋
~瀧佑介《たきゆうすけ》side~

バチン!!

突然、綺麗な女がつかつかと俺の前にやってきて会社の前で朝からビンタをくらわせた。
イッテェ・・・
女であろうとビンタは結構効く・・・

「もうあんたなんてこちらから願い下げよ!」

その女はでかい声でそういうとビンタをくらわせたことで満足したのか速足で駅の方へ向かって去っていった。

誰だろ?あの女。
記憶にもない・・・

だいたい女なんて一度寝たらすぐに忘れるもんだろ?
あの女もきっといつか寝たことのある女なんだろう。
お互い気持ちいい思いをしたんだからそれでいいじゃん・・・

朝からビンタとか・・気分のいいもんじゃない。
だいたい、今日は起きた時から気分悪いのに・・・

俺は仏頂面をすると、会社のエントランスへ入った。
俺の後ろから入ってきた経理課の地味子がエレベーターの方へコソコソと歩いている・・・

クソ。見られたか。今の・・・
よりによってあんな地味子に見られるなんて・・・

エレベーターに乗り込むと同期の奴らに後ろから肩をたたかれた。

「おい!佑介。なんだよ今の。また女かよ。お前あんな綺麗な女でも関係ないのな。」

「おめぇ。昨日とネクタイ一緒じゃん。また朝帰りかよ・・・」

ふん・・・見てんじゃねぇし・・・

「ほっとけよ。朝から気分悪ぃ・・・」


14Fに着くと、俺はエレベーターから降りた。
経理課の地味子は「開」ボタンを押して、皆が降りるのを待っていた。

はぁ・・・憂鬱な金曜日だ・・・ったく・・・。
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