秘密の恋~絶対に知られちゃいけない恋だったのに~
俺は及川華が戻ってくる前に会計を済ませて及川華のトートバッグを持ち外に出た。

胸が高鳴る。

「あ、すみません。」

もう、マスクをしているから表情は見えない・・・けど、

「あ、いいよ。じゃあ会社戻ろっか。」

トートバッグを渡したときの手を見る。華奢で着飾らない綺麗な指先・・・

横を歩く及川華を見る。

この身長差・・・知ってる。


会社に着いてエレベーターに乗り込むと及川華はエレベーターの操作パネルの前に立つ。
俺は後ろから眺める形になる。

この細いうなじ。
そして今は長いスカートで隠れているけど形のいいおしりと足。

長い髪を束ねるこのヘアゴムをとったら、サラサラのロングストレートが肩にかかることも。

全部・・・知ってる。


あーこんなとこにいたのかよ。

なんで、気づかなかったんだろう?


いますぐ後ろから抱きしめたい衝動を必死で抑える。
ここは慎重にいかなきゃ・・ダメだ。

エレベーターが14Fに到着した。

「及川さん。楽しかったよ。また行こ。」

「ごちそうさまでした。おいしかったです。風邪一気に良くなったかも・・です。」

ペコリと頭を下げた。
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