秘密の恋~絶対に知られちゃいけない恋だったのに~
そして俺は夜景の綺麗な丘にやってきた。

「降りて。」

降りるなり、華の顔が輝く。
その瞳はまだメガネの下にあったけれど・・・。
あきらかに警戒心は薄くなっている。

俺たちは近くのベンチに腰掛けたかったが、クリスマスイブにベンチが空いてるはずもない。
立ったまま夜景を眺めた。

「綺麗・・・。涙出そうです。」

「なら・・・涙流せよ。ほら、こんなんないほうがいいだろ?」

俺はさっと華のメガネをとって、唇を優しく重ねた。
あー懐かしい唇。

「瀧さん?」

もう一度唇を重ねる。今度は奥深く・・・。
そしてそれに応える華。

「このキスの味。忘れると思った?俺が。」

「え?」

「やっと見つけた。俺の愛しい華。」

「気づいてたんですか?」

華が驚いた表情をして、逃げようとしたので、抱きしめた。

「こんなとこからどうやって1人で帰んだよ?それに、やっと巡り合えたのに、帰すかよ?」

「だって、佑介が好きだったのはメイでしょう?最悪・・・。いい思い出で終わりたかったのに・・・。」

は・・・? サッと血の気が引く。
いい思い出って何?俺なんて所詮思い出だけのものってこと?

俺はお前に会えてこんなにうれしいのに?
ショックすぎる。

「俺のこと嫌いなの?」

華の顔を見ておずおずと聞いてみる。

「嫌いなのは佑介の方でしょう?
わたし及川華なんて地味でダサい大嫌いな女じゃないの?いつもそんな眼でわたしのこと見てたもの。」

あー。そういうことか・・・
たしかに俺は無表情でいつも下向いてる及川華は嫌いだった。

でも、きっとそれには理由があるはずで・・・
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