秘密の恋~絶対に知られちゃいけない恋だったのに~
表の庭へつづく小道を抜けた時、ひょっこりと現れた男性客とぶつかりそうになる。

「あ、すみません!」

「こちらこそ。え?」

「崎本さん!」

スマートにスーツを着こなしたいつも以上にさわやかな崎本さんが現れた。

「え?華ちゃん?!なんでこんなとこいんの?」

「崎本さんこそ。」

「俺は新郎の幼馴染だけど・・・?」

「マキくんのですか?わたしは新婦の友人で・・・」

「へぇ・・・。そうなんだ。奇遇だね。これって運命じゃない?」

突然、肩をガシッと引き寄せられた。

「いっしょに行く?」

「え?ちょ、やめてください。」

スルリと逃れた。

「なんだー。やっぱりつれないね・・・」

「わたし、ここに一応カレシと一緒に来てるんで。」

ちゃんと言っておこう。誤解されるのは嫌だし・・・

「え?やっぱりいたの?そういうオトコ。」

「はい。まぁ・・・。」

「ふぅん。別にいいけど・・・奪うだけだし。」

「は?」

「とりあえず、裏庭行こうよ。もう新郎新婦来るんじゃね?」

「はい。」

今歩いてきた小道を引き返す。

崎本さんはさすがに肩をひきよせることはなかったが、結構近くに密着しないと小道は歩けない。

後ろを歩こうかと思ったが、さりげなくそれを阻む崎本さん。女のエスコートも慣れてる・・・。
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