家族
見舞いに行った翌日、
父は亡くなった。

原因は
風邪を引いて
肺炎をこじらせた事だそうだ。

私達兄弟も葬式に参列した。
大勢の人達が集まっていた。

もしかしてこの中に
お母さんがいるんじゃないか・・・?

その時なんとなく
そう思っていた。
もしかしたら
会えるかもしれない、と。

そんな期待も空しく、
式は進んでいった。
身体が火葬され、
骨になって出てきた父を見ても
不思議と涙は出なかった。

私達も父の骨をつかみ、
骨壷に入れた。

それが終わり、
骨を持って霊柩車に乗り込んだ時
なぜか涙が溢れてきた。

お父さんのこと
何も覚えてない。
何も知らないのに・・・

母も父もいなくなってしまった。
これから先、大人になるまで
あの施設で暮らさなければならない。
頼れる人は誰一人としていない。
そんな思いが溢れ、
知らないうちに涙となっていた。

父には何も期待していない
つもりだったのに
心の底では、
いつか家族の事を思い出して
迎えに来てくれるはずだと、
そんな風に思っていたのかもしれない。
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