これがキスだと知らなかった。
抱き締める力を緩めて仁菜の名前をもう一度呼ぶと、
仁菜は顔を少し上げた。
「これできっとこわくないよ、だいじょうぶ」
そう言って仁菜が耳を塞いでいる両手を
覆うように手を重ねる。
この日を忘れない。
俺が初めて仁菜に恋した日だった。
今までずっと好きだったけど、好きの意味すら
分かってなかった。
だけど分かったんだ。
妹だから好きとか、そうゆうんじゃない。
仁菜の顔を自分の方に向けて、目を瞑った。
重なる2つの小さな唇
「は、る...にぃ?」
「ぼくがずっとになのこと、まもってあげるから...
だから大丈夫だよ」
その日初めて、妹に
仁菜に、
キスをした。