これがキスだと知らなかった。





その日から俺の中で仁菜に対しての気持ちが
何なのか始めて分かった。


これが人を好きになる事なんだって。



守りたいだけじゃない。
側にいたくて、触れたくて、愛しおしい。





それから時間は過ぎて、中学になった仁菜が
男子に言い寄られても俺が引き離したり、
やれることは何でもしてきた。


でもこれは俺のエゴでしかなくて、仁菜にとっては
こんなの幸せじゃないって分かってた。



そう、仁菜は恋をしらない。

好きがなんなのか
キスがなんなのか


ずっと知らなくていい。


兄妹としてでも、俺を好きでいてくれれば
好きの意味なんて、恋なんて知らなくていい。



ずっと鳥籠の中に閉じ込め続けた。




こうゆうのも辞めようって思って、仁菜に似た
言い寄ってくる女と付き合ってみたりもしたけど
やっぱり仁菜じゃないとダメで、愛せない。



成長していく仁菜が段々女になっていって、
俺の気持ちは大きくなるばかりで、
どんな女でも満足できなかった。



どれだけ自分が汚いのかなんて
、考えるのも嫌になるくらいに
段々心の中が黒くなっていった。








「仁菜...」



眠ってしまった仁菜の瞼にキスを落とす。





涙は乾き、どれくらいの時間が経ったんだろう。


我慢できなくなる前に部屋を出よう。
そうした時だった


ドアの開く音と同時に兄貴は驚いた顔でこちらを見てた。




「晴周..おまえなにしてんだよ」



俺が仁菜を抱き締めて、
胸の中で心地好さそうに眠る仁菜。



ふっと兄貴の方を見た。


この光景が兄貴にはどう見えてるんだろう。





いっそ兄貴の前でキスでもしてやろうかと思った。







「あぁ、仁菜がさ、泣いてたから」



なんか俺って余裕ねーな。




「そ、そっか。
仁菜寝ちゃったんならさっさと風呂入れよ」




そう言って兄貴は部屋を出た。













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