命が別れるそのときまで
親友の墓の前で、俺は手を合わせる。その隣では、親友の恋人だった女性が花を供え、それから手を合わせていた。
毎年変わらないこの日の光景は、五年前、独りで訪れる精神を持たない、けど誰にも頼れなかった彼女に付き添い、以降恒例となっている。
親友と彼女は、それぞれと仲の良かった俺を介して知り合ったから、役目としては自然の流れみたいなものだった。
言葉を声に出すことなく、きっと彼女は親友に何か話をしてるんだろう。それが終わると、今度は三人で会話をする。この一年の報告や、なんでもないような話を。
彼女が小さく微笑んだりするようになったのは、一昨年からのこと。