俺様彼氏と不器用なクリスマス

「本当はずっと前からクリスマスに指輪を渡そうと思ってた。いつもどおり残業したあと、お前を連行しようと思ったら、帰ろうとしてるし」

まじで焦ったと翔平はあたしの耳元で囁く。

「……翔平ってあたしのこと、そんなに好きなんだ」

ためしにそんなこと言ってみると耳まで真っ赤になる。俺様なくせに照れ屋さんらしい。

「好きすぎてどうにかなりそうだ」
「デート誘っても冷たいのに」

映画に1人で行けだの、いつも職場で会ってるだの、散々人のこと放置したくせに。

「冷たかったか?俺」

きょとんと不思議な顔をされるから、文句を言う気も失せる。自覚ないのかな、この人。

「どこが?」
「……映画1人で行けないのか、とか。職場でいつも会ってるだろう、とか……?」
「それって冷たい?」
「え!?」
「……ちゃんと返事返しただろ。この俺が」

待て、待て、待て。
返事返したらOKなの?

「今までの彼女には返事なんてしてこなかった。お前は特別」

……そうなの。あれ、特別扱いされてたんだ。
そりゃあ、歴代の彼女に嫌われるわけだ!
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