俺様彼氏と不器用なクリスマス

「じゃあ、あれが翔平なりの誠意だったのね」
「ああ。俺なりの誠心誠意だ」

自信満々に言い切った翔平。
案外、この人は不器用なのかもしれないと思うと笑えてきた。

可愛いじゃないか。
仕事も出来るし、頭もいい。スポーツだってずば抜けているくせに、恋はスマートにいかないだなんて。

「他の女には返事なんて返さなくていい」
「おう」
「でもあたしへの返事はもう少し優しくしてよ」
「……善処する」

歴代彼女から嫌われる、最低男なのに、こんなにも愛おしいだなんて。
あたしは周りから可笑しいと言われるかもしれない。

「だから、茉咲。俺の嫁になれよ」
「しょうがないなぁ」

告白も強引だったのに、プロポーズも強引だ。でも、それが翔平らしい。

「翔平の引き取り手、あたししか適任者いないからなってあげる」
「じゃあ、遠慮なくお前貰うな」

いきなり唇を重ねられたと思ったら、そのまま押し倒された。その瞬間、頭をぶつけないようにそっと手で守ってくれるのだから、彼は優しい。

2度目のキスは深く、強くなっていく……。

その甘い雰囲気。あたしも子供じゃないから何と無く気づく。

「……するの?」
「当たり前だ」

何の準備もしていなかったあたしは途端に焦る。すると、気になることを全部口に出してしまった。

「あたし、毛剃ったっけ?」
「知るか。ボサボサでも気にしねぇ」
「え……下着可愛いかったっけ」
「お前が可愛いから充分」
「こ、心の準備……!」

さすがにジタバタして焦るあたしに呆れたのか、翔平が鋭く睨んできた。

「茉咲」
「は、はい!」
「どんなお前も受け入れるから。お前は黙って、俺に愛されとけ」
「……っ!!」

長く好きだった彼の甘い言葉にあたしの頬が赤く染まる。黙ったあたしをほくそ笑んで、彼は愛撫を始めた。

fin
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