セキヨウに想う
「ね、高校への進学なんだけど...」
高校進学は、この街だと大抵行く場所は決まっている。
だから、一緒にいけると思っていた。
しかし時に脆くそれは、流れに逆らうような希望の前には無残にも散る。
彼女が何を話すかなんて。
何を話されたとしても。
そうであるならば……。
応援する。
それが僕がしてあげられる唯一の事だと思った。
「あぁ立てるよ!大丈夫だって!頑張れよ!」
そこに複雑な言葉や心は要らないと思った。
「あ、あぁ、うん。うん!頑張る!」
「ありがとう……ね。」
離れたくはない。
一緒に同じ高校に行きたい。
それは彼女も同じだったろう。
だからこそ、相談したのだと思うから。
でもそれは、だからこそ舞台に打ち込める環境へ行きたい事への表れでもある。
だからこそ、応援する事にしたんだ。
あの時に一言が言えていたら?
誰もが一度は考える事かもしれない。
だが、皆その場で精いっぱいの答えを出すのだと思う。
勇気が無いだけ、と言う人がいるかもしれない。
でも僕は、あんなに豊かな表情で瞳を輝かせる、彼女を応援する。
と、いう答えを出したんだ。