カゼカオル
「優しいんだね。来てくれないと思った。」

僕の腕を彼女は優しく組んだ。

寄りかかる彼女の体はまだかすかに
冷たかった。

「そりゃ好きな女の子から呼び出されたら
行くに決まってるよ。」

彼女は僕の肩に頭を乗せて

「振られた。隼也に。」

息が一瞬止まった。

「他に好きな人できたんだって。
今さっき教室で言われた。
私と付き合ってる最中も
時々会ってたりしてたらしいの。
もうほんと信じられない。
だれも信じられない。」

さっきよりも腕を組む力は強くなる。



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