カゼカオル
「はいこれ。」

「え?何?」

「3年前。
ここでプレゼント渡そうと思って、
薫がずっと欲しがってたペアの
腕時計。もういらないか。」

ピンクの小さな腕時計。

中学生のときお小遣いを必死にためて、
お母さんにも少し協力してもらって彼女の
分だけなんとか買った時計。

「ねぇ見て私も!風くんにこれ。」

薫も同じペアの男子用のやつを買っていた。

「気があうんだね。私たち。」

光が瞳にうつってキラキラしていた。

やっともどれた気がした。

3年ぶりの君と過ごすクリスマス。





< 130 / 147 >

この作品をシェア

pagetop