カゼカオル

思い出巡り

僕は彼女の家の最寄りまで
迎えに行った。

「服選ぶのに時間かかっちゃった。」

恥ずかしそうに笑う君。

私服の彼女はいつもより大人で
揺れるスカートが風になびいていた。

「行こっか。」

福岡行きの新幹線に乗り込んだ。

「私を連れて行きたい場所って?」

「僕がよく行ってた場所。」

不思議そうに僕を見つめた。

そうだよね。意味がわからないよね。

「へぇ。楽しみだなぁ。」

そう言って窓の外を眺める。

こんなに横顔綺麗だったっけ。

そう、これは君のためであり
僕の願いなんだ。


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