カゼカオル
疲れ果てていたので彼女をおんぶ
していると。

「ありがとう。風くん。」

僕は立ち止まった。何か言った気がした。
いやきっと勘違いだ。

昔は薫から風くんと呼ばれていた。

「薫……。」

家に着くと、そこには心配した
薫のお母さんがいた。

「すみません。遅くなってしまって。」

「あら風太くんじゃない!
薫がずっと河上くんていうもんだか
分からなかったわ。
わざわざありがとうね。」

「この子一度寝るとなかなか起きないから。」

彼女はお母さんに抱き抱え
られ家に入っていった。
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