カゼカオル
「私と付き合って。薫のこと
私が忘れさせてあげる。
考える余裕がないくらい
私でいっぱいにしてあげる。
だから、付き合って。」

大きく心が揺らいだ。

今僕には心を癒せるところがなかった。

「比野さん。こんな僕をありがとう。」

むすっとした顔で

「彩芽って呼んで!比野さんとか、嫌だ。」

「あ、彩芽……。」

楽になりたかった。

「返事は今すぐできない。」
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