カゼカオル
「そっか。いつでもいいよ。
でも、私信じてるから。
じゃあね。」

また体育館の方に戻っていく比野さん
を目で見送った、姿が見えなくなるまで。

僕は必死に考える。

比野さんと付き合えば、たしかに
全てのことを忘れられると思えた。

今の僕のことを受け入れてくれるのは、
比野さんしかいない。

もう楽になりたかった。

大好きな薫にも嫌われ、
大山隼也にも見下され。

ただ生きるのが嫌になった。

挙げ句の果て僕を救おうとしてくれる
比野さんを振るのは僕の中の何かが
許さなかった。
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