カゼカオル
「別に。今と変わらないよ。
昔っからなにも変わってない。
あのころのまんまだよ。」
「そんなのきいてどうすんだよ。」
嫌だった。
薫のことを大山に話すのが。
「あいつはいくらきいても
一つも昔の話をしないんだよ。
中学のころでさえ、
なにも話してくれないんだよ。
中学が河上と一緒だってきいて、
それで、聞きたかったんだ。
過去に何かあったんじゃないかって。
河上なら何か知ってるんじゃ
ないかって。」
大山は知らないんだ。
彼女が記憶をなくした人間で
あるということを。
昔っからなにも変わってない。
あのころのまんまだよ。」
「そんなのきいてどうすんだよ。」
嫌だった。
薫のことを大山に話すのが。
「あいつはいくらきいても
一つも昔の話をしないんだよ。
中学のころでさえ、
なにも話してくれないんだよ。
中学が河上と一緒だってきいて、
それで、聞きたかったんだ。
過去に何かあったんじゃないかって。
河上なら何か知ってるんじゃ
ないかって。」
大山は知らないんだ。
彼女が記憶をなくした人間で
あるということを。