輝く雨
「……嫌なことをしてくる僕のこと、月奏ちゃんは嫌い?」
聞きなれた、宇汰の弱々しい声。
そのはずなのに、耳元で聞いたら、私が悪いことをしているような気になる。
「私は……」
そこまで言って、言葉が詰まった。
出てこなかった。
宇汰のことは嫌いじゃない。
一週間会わなかっただけで、あのザマだから。
嫌いな人に、会いたいなんて思うはずがない。
でも、好きかと言われたら……
「……宇汰のこと、嫌いじゃないよ」
すると、宇汰の手が緩み、離れた。
私はゆっくりと振り向き、宇汰の顔を見る。
宇汰は頬を染め、喜んでいた。
なんだか、恥ずかしくなってきた。
……話題を変えよう。
「雨嫌いの宇汰が、どうしてベランダにいたの?」
「ずっと考えていたんだ。どうやったら、月奏ちゃんが星を見たいって思ってくれるか」
見たいと思っても、暗いところが苦手だからどうしようもないっての。
なんて、何回も言ってきたから、言わないでおこう。