金木犀
出会い
けいちゃんとの出会いは大好きなお姉ちゃんの結婚式。
お姉ちゃんの結婚は私にとって複雑だった。
小さい頃に両親が離婚して、仕事で忙しいお母さんの代わりに私の面倒を見てくれたのが12歳上のお姉ちゃんだった。
私が4歳のときだった。
16歳のお姉ちゃんは保育所に迎えに来てくれたり。
小学校の参観日に来てくれたり。
運動会も、音楽会も。
遠足のお弁当だって。作ってくれたのはお母さんじゃなくてお姉ちゃんだった。
高校を卒業しても、家の近くの会社でOLをして、必ず夜には家に居てくれた。
お姉ちゃんとお姉ちゃんの旦那さん、トヨくんとの出会いは高校生の時。
私がワガママばっかり言ってデートなんて出来なかったと思う。
誕生日だって。クリスマスだって、お正月、バレンタイン。
全部私が一緒だった。
それでも、トヨくんは私とお姉ちゃんのことを考えてくれた。
だから結婚するって聞いてすっごく嬉しかったんだよ?
結婚だって私が高校生になるまでってお姉ちゃんが断り続けてた・・・・
そこまで思ってくれてても、それでも心から祝福できない私は、結婚式当日になっても「おめでとう」って言えてなかった。
だって、明日から夜、家には誰も居ない。
学校から帰って、友達と遊んで。
帰ってきたとき、誰も居ない。
玄関を開けて、「ただいま」って言ったとき、「おかえり」っていつも笑顔で言ってくれるお姉ちゃんが居ない。