金木犀
大人って
けいちゃんにキスされちゃった・・・
ボーっと教室で空を見上げる。
「こらーっ、奈々!寒いってば!閉めて!」
窓を開けてボーっとしてたら、由花に怒られた。
「むー、空気の入れ替えしてんのに!」
「空気の入れ替えなんて5分もありゃ終わるでしょっ」
プリプリ怒った由花は私の前の席に座る。
「何ぼーっとしてんの。」
「え、いや、別に・・・・」
なんてバレバレの態度は由花にすぐ見抜かれる。
「何っ?何があったの?どうせけいちゃんでしょ?」
「う・・・・ん・・・」
由花とは小さい頃からの親友。
お互い母子家庭だから、気兼ねなく遊べるし。
由花に隠し事なんてしたことない。
「えぇぇぇぇぇ!?マジでっ?!」
「わーっ由花っ声大きい!!」
昨日の夜のことを話すと由花は大きい声をあげた後、口をあんぐり開く・・・
「何?それって告白したのと同じじゃん・・・」
「・・・・・・・だよね・・・・・」
本命チョコ渡すって事は、好きって言ってるようなもんだよね。
でもけいちゃんの返事は「チョコありがとう」
これってどういうこと?
「ん~・・・・・こればっかは直接本人に聞いてみないとね。ま、とりあえず、キスするって事はOKってことなんじゃない?」
にんまり笑った由花。
「そ・・・・かな・・・・」
「いいじゃんっ!よかったじゃん!いいなぁ~、年上の彼氏、しかも社会人で男前!なんてうらやましすぎる~~っ」
「へへ・・・・」
由花は自分のことのように喜んでいた。
このときは本当ににやける顔がなおらなくて。
だらしなくニヤニヤ笑っちゃって。
どうしよう?けいちゃんが彼氏?
なんて浮かれてたんだ。