金木犀
いつもどおり、ニコニコ笑ってるけいちゃん。
なんで?なんでそんな普通なの?
時計を見るとまた16時だった。
仕事は?
なんで?なんで居るの?
「奈緒さん買い物行ったよ~、俺留守番。」
普段どおり、普通にしゃべるけいちゃん。
「あ、俺、半休ね。サボってるわけじゃないよ?」
会いたいって
会いたいって、すっごく会いたいって思った。
キスされて、舞い上がって。
両思いかも?なんて浮かれてた。
会えなくなってすっごく寂しくて。
嫌われたのかもって。
避けられてるのかもって不安だった。
会えない間にいっぱいいろんな事考えたのに。
なんでけいちゃんはそんなに普通なの?
「なんで・・・?」
私からは小さな声が出た。
「え・・・?奈々?どうした?」
けいちゃんからしたら、あのキスも、手作りのチョコも。
『特別』なことじゃなかったのかな?
やっぱり、大人なけいちゃんは、子供の私を相手に本気になんてならないのかな?
「奈々?」
優しい声で、私の頭を撫でる。
「あ、会いたかったの・・・すっごく、けいちゃんにあいたかったぁ」