金木犀
言葉と一緒に涙が溢れ出た。
その時、優しく、ふわって抱きしめられた。
「うん。ごめん、連絡しなくって。」
耳の傍で聞こえる声。
私は首を横に振る。
「だって、連絡先、交換してないし。」
「うん。聞いときゃよかったって思った。」
「私も・・・・」
少し顔を上げると、優しく笑ったけいちゃんの顔が見えた。
「じゃ、じゃあ!交換しよ!」
私がけいちゃんから離れてソファの上に置いたかばんを取ろうとしたとき
「まって、その前に・・・」
ぐいってまた引き戻されて
「わっ・・・」
至近距離にけいちゃんの顔。
クスって笑ったけいちゃんの顔がゆっくり近づいてきて
唇が重なった。
「んっ・・・」
大人のキス。
甘くて、熱くて。
とろけそうだよ。
何度も何度も、角度を変えて重なる唇。
キスってこんなに気持ちいいものなの?
今までしてきたキスと全然違う。
やっぱけいちゃんは大人だ。
ゆっくり離れた唇。
恥ずかしすぎて、すぐ目をそらす。
クスって笑って、けいちゃんにまた抱きしめられた。
「あのさ・・・・・」