金木犀
俺の手を離し、玄関に向かった奈々の腕をまたつかんだ。
「違うって、そうじゃなくて・・・・
見たい映画あるって言ってたじゃん、行きたいところもあるって・・・
せっかく可愛いカッコしてんのに、家の中に居たんじゃ、もったいないじゃん」
泣きそうだった顔が急に赤くなり、目を見開く奈々。
「え・・・・あの・・・えと・・・・」
「な?」
俺はひざを屈めて奈々と同じ視線になる。
ちらっと俺を見た後、俺のシャツをぎゅっとにぎり
「けいちゃんのためにおしゃれしたから・・・・外に出なくていい・・・映画もいい・・・・・・家に居たい・・・」
小さく言う奈々。
って・・・・それ・・・可愛すぎるんですけど・・・
「わかった。」
そう言って、奈々の頭をなでると奈々は嬉しそうに微笑む。
俺はにっこり笑い
「じゃ、一緒に寝てくれる?」
そう言うと、奈々の目がまた大きく開く。
「えっ・・・」
戸惑う奈々の腕をつかみ
俺は玄関の鍵を掛け、ベッドへ向かった。
大体トヨさんも、高校卒業するまで手を出すなって言っといて、よく俺の家教えたりするよな・・・
これで手ぇ出せないなんて俺地獄じゃん。
はぁ。
ベッドに奈々を押し倒し、上に乗る。
「あっ・・あの・・・けいちゃん・・?」
真っ赤になって焦る奈々が可愛くて、自然に笑みがこぼれる。
「なに?」
「あのね・・・えっと・・・・」
何を言いたいのか、ドモる奈々。
多分、そんなつもりじゃなかったんだろうし、いきなりだからびっくりしてるんだと思う。
でも、焦る奈々が可愛くて、ちょっと苛めてみる。
「今日っ・・・あの・・・その・・・準備して無かったって言うか・・・えっと・・」
真っ赤な奈々の目が潤んでくる。