金木犀
そのまま、家に帰る気にもなれず、おねーちゃんの家に来た。
「どーしたの?元気ないね」
おねーちゃんがコーヒーをいれながら言う。
春の日差しが入るリビングは暖房を付けていなくてもあったかい。
日が当たる絨毯の上に座って、きれいに手入れされた庭を眺めてた。
「奈々?」
「うん。。。」
おねーちゃんに渡されたコーヒーを両手で持ち、息を吹きかけて。
ゆっくり、今日見たことをおねーちゃんに話した。
もう飲めるかな?そう思いゆっくりコーヒーカップに口を付ける。
「さみしいね。」
優しい笑顔でおねーちゃんは言うと、コーヒーをゆっくり飲んだ。
「おねーちゃんもさみしい?」
「そりゃ、さみしいよ?ずっと一緒に居られたらいいなって思うけど、そういうわけにはいかないし。
でも、帰ってきてくれるから、帰ってきたら素直に言うかな。
さみしかったって」
意外だった。
おねーちゃんってそういうこと言うんだ。。。
「でも。」
もう一口コーヒーを飲んだあと。
「嬉しいなー。奈々とこんな話し出来るなんて!」