金木犀
車に少しもたれて、タバコをすっているけいちゃん。
走ってくる私に気づいて、携帯用の灰皿にタバコを押し付け
「おかえり」
私を見つめて優しく笑った。
「ただいまっ」
そう言うのと同時に、私はけいちゃんに抱きついた。
久しぶりに感じるけいちゃんの香り。
ぎゅーっと抱きつく私の頭をゆっくり撫でたけいちゃんは。
「奈々、みんな見てるけど。。。」
私の耳元でささやく。
「う〜っ・・・だって・・・」
わかってる。
見られてるってわかってるけど、離したくない。
そんな気持ちを込めて、抱きしめる腕に力を込めた。
「電話でなくてごめん、メールも返事しなくてごめん。寂しかった?」
けいちゃんは私の肩に顔を近づけ、耳元で話す。
「うん。。。寂しかったっ」
顔を上げて、けいちゃんを見ながら答えると、
嬉しそうに笑ったけいちゃんが、
「素直でよろしい。」
そう言って、照れたように笑って
「今すぐ、キスしたいけど、学校の前だし、いっぱい見てるし。車乗ろっか。」
助手席のドアを開けた。