金木犀
気持ち
車に乗って、エンジンをかけたけいちゃんは。
「どっか行きたいとこある?」
そう聞いてくれたけど、行きたいところなんてない。
「けいちゃんと一緒ならどこでもいい。」
そう素直に答えると、
「あー・・・うん・・・・」
そう言いながら上をむいて、目を閉じてなにかボソボソ言う。
そして、小さなため息みたいな息をついて、何も言わず車を走らせた。
たどり着いたのは、けいちゃんのマンションだった。
「スゲー散らかってるけど。」
恥ずかしそうにそう言って通された部屋は本当に散らかってた。
隠しもしないけいちゃんの態度が嬉しかった。
自然に笑顔になった私は
「片付けるよ。」
そう言って、ブレザーを脱いだ時。
手を引かれて、ふわっと体が浮いた。
それと同時に、キスされた。。。
「んっ・・・」
唇から温かい温度が伝わって、体もぎゅっと抱きしめられる。
体中が温かい。
何度も角度を変えて触れる唇。
気持ちよすぎて、嬉しくて、気づけば涙が出ていた。