金木犀
「なんで泣くの?」
額をくっつけて、鼻の頭もくっついている状態で、けいちゃんが言う。
「わかんないっ・・・わかんないけどっ・・・うーっ・・・」
本格的に泣き出した私の涙にキスしたけいちゃんは
「泣かないで、どうしていいかわかんなくなる。」
そう言って、もっと深いキスをした。
きっと、嬉しすぎたんだ。
会えたこと。
キスできたこと。
求められたこと。
部屋になんの躊躇もなしに入れてくれたこと。
まだまだ彼女って実感の無い私には、けいちゃんの何気ない行動が嬉しすぎたんだ。
長い、長いキスの後、ぎゅっと抱きしめられた。
「ほったらかし過ぎたよな。ほんとごめん。。。。」
耳元で聞こえる声はすごく低くかった。
首を左右に大きく振って、
「へっき!大丈夫だよっ・・・こうやって会いに来てくれただけで十分・・・」
けいちゃんの胸に顔を埋めそう答えると。
「寂しかった?」
手のひらを頬にかけ、私を上に向ける。
「寂しかったけどっ・・・けいちゃんお仕事がんばってるのわかってたしっ・・・邪魔しないからっ・・・大丈夫だからっ・・・」