金木犀
トヨくんは新居に私の部屋を用意してくれた。
「おじゃましまーす・・」
騒がしいリビングをこっそり抜けて、けいちゃんが私の部屋に来た。
「どうぞ」
「なんか照れるな・・女の子の部屋。」
ってちょっと鼻の頭をポリポリするけいちゃん。
「そんなこと言って、慣れてるくせに。」
私がそう言うと
「なっ!失礼な!俺はそんな軟派じゃないよ!」
必死に弁解する。
そんな慌てなくてもいいのに。
ちょっと膨れた後、キョロキョロ私の部屋を見回す。
「もう!そんなに見ないでよ!恥ずかしいじゃん!」
私は慌てて、けいちゃんの服を引っ張りベッドに座らす。
「かーわいい。照れてやんの。」
そう言って、私の鼻を指で突く。
余計に顔が赤くなるのがわかる。
「もう!そんなことばっかり言うなら出てってっ」
ベッドの上にあるクッションをけいちゃんに押し付ける。
「ごめんごめん、もう言わないって」
けいちゃんは私との間にあるクッションをのけて、私の両腕を握る。
向かい合って、見つめあう。
え・・・?
急に真剣になったけいちゃんの目。
けいちゃんの顔、じっくり見るの初めてかも。
結構目、大きいんだ。
なんて観察してると。
「キスしていい?」
私の頬を撫でながら、甘く低い声が響いた。
「え・・・・?」