聖なる告白
(嘘……こんなところでまた会えるなんて。沙織が言ったとおり、本当に同じ民宿に泊まって……?)


でも、いくら小さな島とはいえ、こんな偶然があるだろうか。

そう思いながらも私は喜びに震える。その場から動けず、男性が荷物を受け取りこちらに歩いてくる姿を凝視してしまった。

日に焼けた肌。割れた腹筋、引き締まった腰回り。濡れた前髪が垂れて、顔がよく見えないけれど、たぶん、きっとイケメンに決まって……


「あれっ、君は」

「えっ?」


男性は、自動販売機の前に突っ立っている私に気付き、なぜか足を止めた。


(えっ、何。なんでこっちを見てる? 『君』って、私のこと?)


キョロキョロと周りを見回す。ロビーにいるのは私だけだ。


「やっぱりそうだ!」

「……!?」


彼がまっすぐに近付いて来た。
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