聖なる告白
「あ、ああ……うん。ごめん、夢でも見てるのかと思った」

「ええ?」


一平君は目を丸くし、楽しげに笑った。そういえば、いつもの眼鏡をかけていない。眼鏡なしの顔を、初めて見た気がする。


「夢じゃないよ。ほら」


一平君はペットボトルを拾い、私に手渡した。

この重み、この冷たさ――うん、現実だ!

ということは、彼のカラダも特殊効果ではなく……

思わず知らず、じろじろと見てしまった。一平君は視線の意味に気付いたようで、何となく居心地悪そうに斜めを向く。


「かっ、重ね重ね、ごめんなさい。私、びっくりしちゃって……」

「い、いや。別にいいけど」


普段の一平君は、上品なシャツの上に白衣をまとい、研究室で仕事に勤しんでいる。いかにもインドア派の、スポーツが苦手な理系男子というイメージなのに。


「脱いだらすごかったんだね」

「えっ?」


私はぱっと口を押える。今のは、ものすごくイヤラシイ言い方だった。
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