聖なる告白
「そ、そうかな。まあ、着痩せするタイプではあるけど」


気まずい沈黙が、二人の間に流れる。

私がもじもじしていると、一平君がこちらに向き直り、彼がここにいるわけを話した。


「この宿、山科(やましな)さんに紹介してもらったんだ。先月の同期会で彼女といろいろ話してたら、民宿の話題が出て。それで、興味を持った僕が盆休みに行こうかなって言ったら、彼女が予約してくれて……」

「沙織の紹介!?」


山科というのは、沙織のことだ。ちなみに一平君は同期の女子を、苗字にさん付けで呼ぶ。他の男達は下の名前にちゃん付けで呼ぶのに。

若さがないとか他人行儀だとか、皆にからかわれている。


「私は沙織に誘われて、泊まりに来たんだよ。沙織と一緒に」

「山科さんも?」


一平君はまたしても目を丸くする。眼鏡の奥の目は、案外大きかったのだと知った。
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