聖なる告白
翌朝、一平君と魚市場に出かけた。

沙織はまだ寝ていたいからと、布団から出てこなかった。きっと、私達がきちんと話すよう、二人きりにさせてくれたのだ。


「ずいぶんたくさん買うんだな」

「うん。私、魚介類が大好きなのよ。実家にも送りたいし」

「へえ。僕も魚とか貝とか、よく食べるよ。一番好きなのはさんまの塩焼き。次点は牡蠣フライ」

「ほんとに? 私とまったく一緒!」


基本、私と一平君は気が合う。食の好みも似ている。だから、昨夜の件についても、スムーズに話すことができたのだと思う。漁港を散策しながら、世間話でもするみたいに、自然に。


「付き合ってほしいって言ったのは、酔った勢いじゃなくて本気だから」

「わかってる、君は真面目だった。だから僕も、真面目に返事したんだ」

「……じゃあ、付き合ってくれるの!?」

「うん」


一平君は、いつもと同じように穏やかに笑う。眼鏡の奥の瞳は、真摯な色を湛えていた。
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