聖なる告白
私達はクリスマスデートの約束をしていた。ただのデートではない。二人で食事したあと、ホテルに泊まる予定である。


「もうね、明日のデートが楽しみで楽しみで、しょうがないの。今夜は眠れないかも」

「そんなに?」


一平君はどうしてこう、冷静なのだろう。普通、初めてのお泊りデートに興奮するのは男性側だろうに。

それに、いまだに苗字呼びって、おかしくないですか?

もっとグイグイきてくれて構わないのに、一平君は紳士すぎるのだ。ほとんど手を握らないし、キスも数えるほど。

私と違って、かなり淡白なのだ。


「あのさ、小室さん」

「うん?」

「僕と付き合いたいと思ったきっかけって、やっぱり民宿での出会いだよね」

「?」


空になったグラスを置き、一平君を見た。私より強いものを飲んでいるのに、シラフのようにしゃんとしている。
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