聖なる告白
一平君が、来てくれた――

私はそれだけでもう、感激している。彼が自分にとって、どれほど大事な人なのか思い知らされた。


「とりあえず、お茶でも飲もう」

「う、うん」


ちゃんと話を聞いてくれるんだ。私は安堵して、彼に付いていった。

その先は……


「えっ、ここは?」


ミッドビューホテル。今夜、デートする予定だったホテルだ。


「予約はキャンセルしたんじゃ……」

「さあね」


一平君は傘を閉じて、ホテルの中へと私を促す。横顔をうかがうけれど、何を考えているのか読めなかった。

予約をキャンセルしたのか、そのままなのか。よくわからないけれど、彼はまずティールームに私を連れてきて、温かい飲み物をすすめた。

私はジンジャーティーを飲み、ほうっと息をつく。少し落ち着くことができた。


「優美」

「……え?」


カップを落としそうになる。今、下の名前で呼んだ?
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