聖なる告白
「ひどいなあ。だって、理想的なんだもの。体格がよくて、スポーツマンで、アウトドアの遊びが好きで」

「ごっ、ごめんごめん。でもだったら、何で告白しないのよ。あいつ、一年中彼女募集してるよ?」

「……」


実は一度、それとなくアプローチしたのだ。飲み会で隣の席になった時、『勇一君は、どんな女の子がタイプなの?』と、好意をにじませて質問したら……


「『もちろん、巨乳! おっぱいがデカい子! ぼいーん、ぼいいーん!!』って、……叫んでた」


沙織は焼きそばを噴き出し、テーブルを叩いて大笑いする。これだから、誰にも言わずにおいたのだ。


「もし私が巨乳だったとしても、あの人は無理。肉欲の塊なんて最低だよ」

「ぎゃははは……たっ、確かに。おっかしー!」


笑いすぎて焼きそばをなかなか食べきれない沙織を置いて、私は砂浜に下りた。真夏の太陽が、果てなく広がる太平洋を、ぎらぎらと照らしている。
< 5 / 35 >

この作品をシェア

pagetop