聖なる告白
2
その民宿は、海が一望できる崖の上にあった。坂を歩いて上るのは少し大変だが、そんな苦労も吹き飛んでしまうほどロケーションが良い。


「さすが、沙織おすすめの宿だね」

「でしょ?」


私は汗を拭いながら、壮大な景色を眺めた。


チェックインを済ませて荷物を部屋に運んだあと、さっそく大浴場に向かった。家族風呂ていどの広さらしいが、アパートの小さなバスタブを思えば、じゅうぶん伸び伸びと入れるだろう。


「おじゃましまーす……っと、あれっ?」


浴場を覗くと、誰もいない。まだ早い時間なのでチェックインした客は少なく、風呂もすいているのだ。私は洗い場を独り占めして髪と体を洗い、ゆったりと湯船に浸かった。


「ふうー、気持ちいい。沙織も入ればいいのに」


沙織は彼氏と電話するとか言って、部屋に残った。結婚間近のラブラブカップルなので、こまめに連絡しないと寂しいらしい。まったく、うらやましい限りである。
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