触れられないけど、いいですか?
至近距離で彼を見つめると、彼の方からキスをしてきた。

優しい触れるだけのキスは次第に深くなり、私の唇を割って舌を絡め取られる。


「ん……っ」


慣れないその感覚に、少々怖さを感じながらも、慣れないなりに頑張って応えようとする。


すると、唇が離れるのとほぼ同時に、翔君が言った。


「……もっとたくさん、さくらに触れてもいい?」

「え……?」

「今までの分も、たくさん」


その言葉の意味を理解した瞬間、顔から火が出るくらいに恥ずかしかったけれど、


「う……ん」


彼ならーーいや、彼じゃなきゃ駄目だ。
私は首を縦に振った。
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