触れられないけど、いいですか?

数ヶ月後ーー。


「まあ、さくら。とっても綺麗よ」

純白のウェディングドレスを身に纏った私を、母が満面の笑みで褒めてくれる。ちなみに、父はその隣で号泣中。


……婚約中は、優香さんと霜月さんの件で一度破談の危機があった私達だけれど、その後はトラブルは何一つなく、無事に今日の晴れ舞台を迎えることが出来た。


挙式が始まるまでは、あと一時間。それでも、そろそろ参列者の方々もお見えになり始める頃だろう。そう思うと、こうして控え室にいても何だか落ち着かない。


と、ソワソワしていると控え室のドアがコンコンとノックされる。

はい、と返事をすると、開いた扉の先には、白のタキシードに身を包んだ翔君がいた。
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