触れられないけど、いいですか?
どんな理由であれ、日野川グループの御子息との結婚だなんて、朝宮家からしたら頭を下げてでもお願いしたいくらい願ってもないことだ。
だから私は、最初からこのお見合いを断る気なんてない。
たとえ相手の性格がどんなに悪くても、頭が悪くても、今後ともよろしくお願いしますとお返事する。
父と母は〝本当に嫌だったら無理強いはしない〟と言ってくれたけれど、お見合いの話が来た時点で、私はそう決めたのだ。
そのため、これからお会いする人の顔も年齢も、私は何も知らない。先入観を持たずにお会いしたいからと言って父から事前情報を得るのを拒んだのだけれど、実際は、知っても意味がないと思ったからだ。だって、どんな人であっても結婚することに変わりはないのだから。
とは言え、私はこの政略結婚について、決して悲観している訳ではない。
結婚は自分が決めた人としたい、自分が好きになった人としたい――そんな可愛い考えは持ち合わせていないからだ。
家族のため、と言えば確かにそうなのだけれど、それだけではなく、私は生まれてから二十四年間、一度も誰かに恋したことなんてない。恋愛に関する理想や憧れも全くない。ない。だから、誰と結婚しても同じだ。寧ろ、家族が喜んでくれる相手との結婚なら、私だって歓迎だ。
……恋愛に理想や憧れを抱かない理由は、あるけれど。
でもその理由は、出来ることなら結婚相手の日野川さんには知られずにいたい。
そして、日野川さんに知られたくない秘密が、もう一つある。それは、家族も誰も知らない、私だけが十年間貫き通してきた秘密だ。
色々考えていたら、車はあっという間に目的地に到着した。
だから私は、最初からこのお見合いを断る気なんてない。
たとえ相手の性格がどんなに悪くても、頭が悪くても、今後ともよろしくお願いしますとお返事する。
父と母は〝本当に嫌だったら無理強いはしない〟と言ってくれたけれど、お見合いの話が来た時点で、私はそう決めたのだ。
そのため、これからお会いする人の顔も年齢も、私は何も知らない。先入観を持たずにお会いしたいからと言って父から事前情報を得るのを拒んだのだけれど、実際は、知っても意味がないと思ったからだ。だって、どんな人であっても結婚することに変わりはないのだから。
とは言え、私はこの政略結婚について、決して悲観している訳ではない。
結婚は自分が決めた人としたい、自分が好きになった人としたい――そんな可愛い考えは持ち合わせていないからだ。
家族のため、と言えば確かにそうなのだけれど、それだけではなく、私は生まれてから二十四年間、一度も誰かに恋したことなんてない。恋愛に関する理想や憧れも全くない。ない。だから、誰と結婚しても同じだ。寧ろ、家族が喜んでくれる相手との結婚なら、私だって歓迎だ。
……恋愛に理想や憧れを抱かない理由は、あるけれど。
でもその理由は、出来ることなら結婚相手の日野川さんには知られずにいたい。
そして、日野川さんに知られたくない秘密が、もう一つある。それは、家族も誰も知らない、私だけが十年間貫き通してきた秘密だ。
色々考えていたら、車はあっという間に目的地に到着した。