触れられないけど、いいですか?
さくちゃん、という呼ばれ方に少々戸惑いながらも、特に否定したりはしないことにした。
やっぱり霜月さんとは、不思議なくらいに話しやすい。今日も相変わらず、女の子みたいに可愛い顔をしているからだと思うけれど。
「あ、そう言えば先日はすみませんでした。その、オフィスの前で……」
つい普通に会話をしてしまっていたけれど、先日、オフィスビルの前で翔さんと彼が妙な空気になってしまったことを思い出した。きちんと謝っておかなければ。
「あー、全然良いよ。さくちゃんの彼氏……っていうか婚約者、俺とさくちゃんが仲良くしてるのが嫌だったんだよね? 結構、嫉妬深いタイプなんだ?」
「うーん、そうなんですかね? よく分からないですけど……」
「よく分からない? 結婚する相手のこと、よく分かってないってどういうこと?」
そう尋ねられ、何て答えるべきかと考えてしまい、つい言葉に詰まってしまう。
すると、私が返事をするより先に霜月さんが、
「ああ。もしかして政略結婚ってやつか。そう言えば、朝宮さんって朝宮食品のご令嬢って聞いたことあったわ」
と言ってきた。
これに対しても、私はどう答えて良いか分からず、ただ黙り込んでしまう。
勘違いかもしれないけれど、霜月さんの口調が少しだけ冷たくて、まるで〝政略結婚なんてかわいそうに〟って言われたような気がしてしまったから。
やっぱり霜月さんとは、不思議なくらいに話しやすい。今日も相変わらず、女の子みたいに可愛い顔をしているからだと思うけれど。
「あ、そう言えば先日はすみませんでした。その、オフィスの前で……」
つい普通に会話をしてしまっていたけれど、先日、オフィスビルの前で翔さんと彼が妙な空気になってしまったことを思い出した。きちんと謝っておかなければ。
「あー、全然良いよ。さくちゃんの彼氏……っていうか婚約者、俺とさくちゃんが仲良くしてるのが嫌だったんだよね? 結構、嫉妬深いタイプなんだ?」
「うーん、そうなんですかね? よく分からないですけど……」
「よく分からない? 結婚する相手のこと、よく分かってないってどういうこと?」
そう尋ねられ、何て答えるべきかと考えてしまい、つい言葉に詰まってしまう。
すると、私が返事をするより先に霜月さんが、
「ああ。もしかして政略結婚ってやつか。そう言えば、朝宮さんって朝宮食品のご令嬢って聞いたことあったわ」
と言ってきた。
これに対しても、私はどう答えて良いか分からず、ただ黙り込んでしまう。
勘違いかもしれないけれど、霜月さんの口調が少しだけ冷たくて、まるで〝政略結婚なんてかわいそうに〟って言われたような気がしてしまったから。