私達の世界はタイトル未定。




「いえ、遅くなってすみません」

「そ、それは全然、大丈夫、です」

 袋を受け取ると、私はすぐに別れるつもりでいると、奈古君は話を続けた。

「鳰さんは、何が好きなんですか?」

「……ん、え?」

「何かお礼したいな、と思って色々考えたけれど、結局思いつかなくて、水曜になっちゃいました」

「お、お礼なんて、いいですよ。しなくて大丈夫です」

 しかし、そういうわけにはいかない、というような言い方をする奈古君だが、ちょっと料理を作ったくらいで、こちらも何かをしてもらうのは気が引ける。


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