私達の世界はタイトル未定。
「だ……大丈夫です。お礼は、だ、大丈夫だから」
「……そうですか」
「……はい。き、気にしないで」
奈古君よりも二段も上に立っているのに、身長はあまり変わらず、奈古君は守屋君が言うようにモデルさんのようだ。
「じゃあ、今度ご飯でも行きましょう。奢ります」
「え、えっ、いや……」
「決定でいいですね。じゃ、俺これからバイトなんで、この辺で」
言うだけ言うと、奈古君は軽く右手を上げてから、先に階段を下って行った。
無理に関わってもらわなくてもいいと思っていたのに、奈古君は私から距離を置こうとはしなかった。